2021.07.13
全体
思いがけない別れ(カエルのげこちゃん)
2021年 7月
先日から、この『こんなことがあったよ』ブログにも、
何度も登場して来ていたカエルの話題です。
北園舎で生活している年中・年長児が
ビオトープで、大騒ぎになっていました。
子どもたちが、毎日のように観察し、触り、
一緒に遊んできたトノサマガエルが、息絶えていました。
実は、前日の子どもの帰宅後、外掃除をしていた時に、
すでに、池の中でこのような姿になっていました。
しかし、子どもたちに発見させて、
そこできっと何かを感じとる…
それを経験させようと、葉で覆い、
そのままにしておいたトノサマガエルでした。
カエルの姿を、子どもたちは信じられないような表情で、
見ていました。
皮がむけてる…皮がむけてるよ…
ほら、そこ……
みんなが(カエルを)持ち過ぎたんじゃ…
人間の手が熱かったけ、やけどしたんじゃろ…
見ると、カエルの脇の皮がむけています。
まだ、名前も付けてあげとらんかったのにねぇ…
げこげこって鳴くけぇ、『げこちゃん』にしようや~
そう言って、その場にいた子達は、このカエルを
『げこちゃん』と命名していました。
白いおなかから透けて見える、カエルの腹部、
青白くなっています。
太ももは、赤くなってパンパンに腫れています。
人間の手は熱いって、この前、
梶岡先生(ビオトープ観察会の講師の先生)たち
言ってたよね……
どんくらい熱い…?
友だち同士、手を握りしめあって、
手の熱さを確認している年長児の姿もありました。
生き物の立場に立って、
考えてみようとする姿でしょうか?
日頃、ビオトープやビオトープの生き物に
そこまで関心を寄せていなかった子も、
とても衝撃的なことのようで、
長い時間、見入っていました。
息絶えているということが
いまいちよく分からない様子もありましたが、
目が飛び出てる…足が動かん…
そのありさまを真剣に受けとめる姿でした。
?
ここからが年長児の出番です。
どうしたらいい??
もう、触らんかったらいい…
子どもたちは、簡単に結論を出そうとします。
しかし、触らないと決めてしまうことは、
せっかく芽生えた関心(好奇心)が、
無関心にすり替わってしまうことも考えられます。
結果的に、今、こうやって、
カエルは動かなくなってしまっているけど、
カエルのことが、大好きで、かわいがってあげた人…?
そういう子はたくさんいました。
げこちゃんも、みんなのことが大好きだったと思うよ…
でもね、さよならしようね…
いつもは、大賑わいの年長児も、
この時ばかりは、言葉少なく、
言葉にならない感情を体験したことが感じられました。
さよなら…
触る、触らない、というこれからのこと…は、
とりあえず、棚上げして、目の前にいるげこちゃんを
年長児全員で、弔ってあげました。
次の日のビオトープ…
何事もなかったかのように泳ぐオタマジャクシ
仲間の逝去を知ってか、知らずか、
現れた別のトノサマガエル
しかし、子どもたちの目にこのカエルは、
仲間を失った寂しさを
感じているように映ったようです。
昨日までとは違って、ビオトープのそばに、
げこちゃんのお墓が置かれました。
ビオトープの生き物と遊ぶ時、
生き物に触れる時、
このげこちゃんが教えてくれた
いのちの重みを、
きっと、子どもたちは、
何かしら感じてくれるのではないでしょうか。
年長児が、梶岡先生と、春に植えたビオトープ傍の
ホワイトコンロンカの花が初めて咲きました。
このタイミングで咲いたこの可憐な花も、
『命』を感じさせるものでした。
ありがとう さようなら